ピパーツ(ヒハツ)
暑い国には香辛料がつきものといえます。食べ物が腐りやすく、食あたりの危険が高い高温多湿の地域では、殺菌効果、消化促進作用のある香辛料が欠かせないものです。中国や日本、また東南アジアと各地域から影響を受け、独自の食文化を育んできた沖縄料理は、食材や素材の持つ、自然の旨みを引き出す調理法が多いため、香辛料を多用することはありませんが、豚肉料理と相性のよい、ピパーツは頻繁に用いられます。
ピパーツはコショウ科南アジア原産のツル性木質植物です。インドネシア、ジャワ、マレーに分布しており、学名をヒハツモドキといいます。沖縄本島や宮古八重山では、古くから栽培され、民家の石垣などに生育しています。沖縄ではピパーツ・フィファチ・ヒハツなどと呼ばれています。産地としては八重山が盛んで、商品も多種あります。
実は3.5センチほどの円筒形で、つくしの頭に似ています。実ると赤く熟しますが、通常はまだ青い未熟のまま収穫し、実を蒸して干し、粉にして香辛料として使用します。独特の香りで沖縄のコショウともいえるピパーツの効能としては健胃、整腸、食欲増進などが上げられます。香り高い自然薬ともいえるのです。香りは松茸に似ているとか、シナモンに近いといわれています。
八重山では頻繁に使用され、そばの薬味として一般的です。沖縄そばには、コーレーグスのピリ辛の薬味も良いですが、甘い香りのピパーツも相性がいいといえます。沖縄そばにはたっぷりとかけていただくと良いでしょう。豚の内臓を用いる中味汁には臭み消しに欠かせず、ナントゥンスー(味噌入り餅)にもたっぷり使われています。
沖縄の太陽をいっぱいに受けて育ったピパーツは若葉も食すことができます。ルッコラに似た形の若葉は、そのままか、細く刻んで天ぷらの衣をつけて揚げます。柔らかな食感と独特の香りが広がります。
ピパーツは発汗作用があるため、新陳代謝を促す働きもあり、暑い沖縄では夏バテ防止に最適な香辛料といえます。
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